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zoom RSS ジェームズ・ナクトウェイ、そしてVII(セブン)

<<   作成日時 : 2006/11/11 16:20   >>

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ブログにもリンクしていた、戦争写真家、ジェームズ・ナクトウェイ(James Nachtwey)のサイトから写真の掲載が消えてしまった!のに慌て、探していたら、なんと今年の4月29日、水戸芸術館講演会を行っていたのを知る。lost chance!
でも、講演会の映像をフル視聴→できるのを発見!から「20060429-1」→
そして、見つけられずにいた、彼の所属するphoto agency、VII(セブン)のサイト→へも辿り着けた。

 ◇

画像私がナクトウェイ氏を知ったのは2004年9月。「9.11」から3年目のNHKの特集番組だったと思う。なんとも物静かに…しかし、揺るぎなく語る瞳に魅せられた。この人が戦場を駆け回り、人々にカメラを向けるとは信じられなかった。
ただ、この番組中、運命の日のわずか2日前、2001年9月9日に立ち上がった、報道カメラマン集団「VII」(当初7人で結成したことから命名)の写真家たちは、いずれも、冷静で思慮深い瞳の、どこにでも居る普通の人々の佇まいで…それは、私の報道カメラマンのイメージを覆した。


ナクトウェイ氏は、9.9にVIIの旗揚げをした直後に自宅のあるN.Yに戻り、9.11に遭遇。当然のごとく現場に直行し、印象的な写真→ を何枚も撮っている。この際に、真っ暗闇なビルの中で方向感覚を失い、その場に居合わせた男性に導かれなかったら、死んでいたかもしれないとも言っている。
そして、約20年をかけ、エル・サルバドール、ニカラグア、ガテマラ、レバノン、ウェスト・バンク、ガザ地区、イスラエル、インドネシア、タイ、インド、スリランカ、アフガニスタン、フィリピン、韓国、ソマリア、スーダン、ルワンダ、南アフリカ、ロシア、ボスニア、チェチェン、コソボ、ルーマニア、ブラジル、イラク等々を見てきた彼は、9.11を体験して、「つながった」という言葉を口にした。
様々な世界中の争いごとが、N.Yで一つの象徴的な形となって表面化されたということだろうか?
また、この日を境に「アメリカが変わった」とも述べている。他のカメラマン達も「アメリカは(本当に)自由だったのか?(最初から自由などなかったのでは?)」とも言う。

画像そんな、現代のロバート・キャパとも言われる彼の約2年間(1999〜2001)に渡るドキュメンタリーを収めたのが「戦場のフォトグラファー」("War Photographer")だ。
字幕がないので、私には細かいところまではわからないけれど、彼の被写体への接し方などが、よく表れている。また、当時51,2歳だったろう彼が、最前線に立つ戦争写真家としての引き際を語る姿も心に残る。


例えば、映像や色々な証言で私の知る限り…有名なロバート・キャパという写真家は、陽気で好奇心に満ち、人が好きで、人々にも愛され、心のままに、興味のある対象に向かって行った人だと思っている。それに対して、ナクトウェイという人は、どうだろう?
大学で専攻したのは、美術史と政治学。しかし、ベトナム戦争とアメリカ公民権運動などに強く影響され、写真のいろはもわからないまま「戦争写真家になる」と志を立てたという。不思議な程、寡黙。しかし、それだけに口にする言葉は、削ぎ落とされた確信に満ちている。映画の中においても、被写体となる人々が、空気や光のように彼を受け入れているのがよくわかる。きっと、強い「想い」は、その人の姿勢を通して自然と伝わるものなのだ。
同じように、Alexandra Boulatさんは、元々旅行写真家だったという。彼(彼女)らの何が、危険な戦場に赴いてまで写真を撮るような選択をさせていったのだろう?

話を少し戻して、水戸芸術館での講演会では、そのヒントが多少垣間見れるかもしれない。全般的には、私にとって、特に目新しい話はなかったように思うが、最後の方で「枯葉剤」(通称"Orange")の写真の紹介は、衝撃的だった。
思わず、目を逸らすことができず、凝視していた。なぜなら、そこに写されている…人体に直接影響を受けた人々は、「人」と言うよりは、「壊された人形」のようだったから。年端も行かぬ子供たちが、いじり回して、ずいぶんと原形を失ってしまった、人形のようであったから。
こういう現実を目の当たりにして、自分の内側に問い掛けた時、それを伝えるべきと思うのは人情だろうし、自分の中だけに留め置き続ける事自体、かなり荷の重いことだろう。とは言っても、もちろん、そういうことを継続して、仕事として選択するかどうかというのは、全く別次元の判断であり…私には、せいぜい、「ありのまま」を受け留めようとするのが、今は精一杯だ。

ただ、そこで彼が述べたように、「物事が起こっている、その時に、動かなければならない」。
あきらめない」「(それぞれが)闘うべき場所を見つけて闘う」ように…という言葉に、少しでも頷けるように、生きる努力をしなくてはいけないのだと思っている。


尚、「20060429-2」→では、日本の写真家、広河隆一 氏との対談も見れる。全般的に「写真を撮る」ことに関する質問が多い。カラーとモノクロの使途、フィルムとデジタルの使途…そして、最後に未来の写真家たちへのメッセージなど。ちょっと、広河氏の声がぼそっとしていて聞き取りにくいけれど、ナクトウェイ氏の真面目でシャイな部分があらためて感じられる映像だ。

 ◇

さて、このナクトウェイ氏が、現在所属している報道カメラマン集団「VII」の現在の写真家たちは以下の通り。

 Alexandra Boulat
 Lauren Greenfield  
 Ron Haviv
 Gary Knight
 Antonin Kratochvil
 Joachim Ladefoged
 Christopher Morris
 James Nachtwey
 Eugene Richards
 John Stanmeyer

公式サイト→において、彼らの経歴は、Photographerタグで、また、Featureタグでは、それぞれのhotな写真が見れるようになっている。

※2004.9の番組中では、最年少としてChristopher Anderson→が紹介されているが、
 彼は現在、キャパが創立した「MAGNUM」 に参加しているらしい。

 また、番組中では、Alexandra Boulatが紅一点だったのも、
 今はもう一人女性が参加しているようだ。


ナクトウェイ氏には(今のところ)及ばずとも、Alexandra Boulat、Christopher Morrisらを筆頭に、色々な賞にも輝く、名実ともに評価を受けている写真家が数多く参加しているし、彼らの、それぞれの視点から見た写真、メッセージが感じられて興味深い。
個人的には、RON HAVIV の色彩を活かした作品、Alexandra Boulat の女性ならでは視点に引き込まれる。お時間の許す時にどうでしょう?

 ◇

最後に、James Nachtwey(ジェームズ・ナクトウェイ) 氏の略歴

1948年生まれ。アメリカ、マサチューセッツ州育ち。
美術史と政治学を専攻してダートマス大学を卒業。ベトナム戦争とアメリカ公民権運動の影響を受け、戦争写真家を目指し、ニューズ・フィルムのエディター見習い、トラックの運転手として働きながら、独学で写真を学ぶ。

76年に、ニュー・メキシコ州で新聞社のカメラマンとして働き始め、フリーの雑誌報道カメラマンとしてもキャリアをスタート。初めての海外任務は、81年、IRAのハンガー・ストライキが行われていた北アイルランドの内戦取材。

その後ナクトウェイは、戦争、紛争、重要な社会問題を記録することに多くの時間を費やすようになる。 (彼の取材した国々:El Salvador, Nicaragua, Guatemala, Lebanon, the West Bank and Gaza,Israel, Indonesia, Thailand, India, Sri Lanka, Afghanistan, the Philippines, South Korea, Somalia, Sudan, Rwanda, South Africa, Russia, Bosnia, Chechnya, Kosovo,Romania, Brazil, Iraq, and the United States)

84年よりタイム誌の契約カメラマンとなり、80-85年、ブラック・スターに参加。86-01年、マグナムのメンバーとして活動。そして、2001年9月、VIIのメンバーとして活動開始。

これまでに、ロバート・キャパ金賞(5回)、ワールド・プレス・フォト賞(2回)、年間最優秀雑誌カメラマン賞(6回)、ICPのインフィニティ・アワード(3回)、ライカ・アワード(2回)、アルフレッド・アイゼンシュタット賞キャノン・フォト・エッセイスト賞等、数々の受賞歴に輝く。
そして2007年 TED Prize(Technology, Entertainment, and Design)受賞→

現在、王立写真協会の会員であり、マサチューセッツ美術大学の名誉美術博士。
 

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2006/11/11 16:23

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