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zoom RSS 舞台 「国盗人」(くにぬすびと)

<<   作成日時 : 2007/08/02 22:50   >>

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2ヶ月前にチケットを取ってもらったお芝居を観る為に、かなり重い腰を上げて、被災地エリアから外へ出ました。(1人で観るのだったらパスしてました)
そして、一時、身の回りの一切を忘れて、シェイクスピアの「悲劇」に、大いに笑いころげて(!?)きました(笑)
それは、萬斎さんの源である狂言、さらに能、歌舞伎という日本の古典芸能のエッセンス、アイディアをふんだんに盛り込みながらも、蜷川幸雄さんの演出するシェイクスピアよりも、英国っぽいセンスの効いた作品のように思いました。あらためて、野村萬斎という人の舞台を創る才能に驚かされました。

画像尊敬する白石加代子さんがご出演、さらには、それが野村萬斎さんの演出、出演ということで、地元で上演されると知った時は、とにかく大喜びしたことでした。
しかし、ろくなリサーチもしないままの観劇。
この脚本が、シェイクスピア悲劇、「リチャード三世」の和製版であること、また、その日、この出し物が千秋楽を迎えることも、上演前に行われたビデオ上映会、そして脚本を手がけた河合祥一郎さんのトークショーを通して知ることになりました。


今にして思うのは、狂言や能、歌舞伎にもう少し詳しくありたかったということ。そうであったなら、もっと、どきどきワクワクした観劇になったに違いありません。
しかし、リチャード三世がわからずとも、狂言がわからずとも、このお芝居は、かなり気を遣って、シェイクスピアの原作にできるだけ忠実でありながらも「わかりやすく」作られたものでした。
そして、一番ビックリしたのは、観客を舞台に参加させてしまう仕掛けでした。
一つは、市民として、いつの間にか、バンザイをさせられることになり、(苦笑)
一つは、重要な戦い前夜のシーン。
主人公にとっては敵、そして世間的には善である軍隊に呼応し、主人公側、つまり悪党側の兵隊となってしまうのです。
特に、後者の場面は、その不自然な配置に気付いた時の、『こう来るのかぁ』という驚きがたまりませんでした。何もせず、黙したままで、充分に1人1人がエキストラとなっているのです。
また、あの萬斎さんが、ミラーボールの虹色の照明がクルクル回る中でマイク片手に、楽しそーに歌ってくれちゃったりもします。お上手です(笑)


舞台、というか、空間そのものも、素敵でした。

客席に足を踏み入れると、まず木の匂いが鼻を付きました。
能舞台の天井を取っ払ったのがベースという舞台ですが、これは、ある場面で、さらに形を変え、天の審判を仰ぐがごとく十字架の連なりのようになるのです。

3時間の間、生で演奏される質の高い、和楽器の演奏に魅了され、歌舞伎のように、キレある鮮やかな早変わりを見せる背景や、それらに様々な表情を与える照明の見事なのに目を奪われ、
全体的に、色彩を絞り込みシンプルながらも、美意識の高さが伺える舞台は、そこで展開される、喜劇のような悲劇を、坦々と支えるに相応しいものでした。


リチャード三世と言えば、せむしで醜悪な容貌で、悪知恵を働かせ、残忍なやり口で、次々と自分の欲望を満たし、王位を奪わんとする男という感じで、
蜷川さん演出(井上ひさし作)の「天保十二年のシェイクスピア」でも、唐沢寿明さんによって、核となる存在として演じられていましたが、
今回のお芝居では、萬斎さん演じる、リチャード三世役である「悪三郎」は、白石さんが1人4役で演じる、「女」達とのそれぞれの対立において、
より存在感と非道さが際立つという構図を作り込み、同時に、全体のリズムを作っていたのが特長的で、それは、観客が無理なくストーリーの展開に付いていけるようにもしていました。
また、
個人的には、例えば、蜷川さん演出の悲劇というと、(萬斎さんを抜擢した「オイディプス王」なんかも)どろどろした血なまぐささが強調される気がするのですが、
今回の舞台は、もっと、単純な欲、狡さの延長線上、そのすぐ先に、悲劇が待ち受けているという…身近な感覚で、喜劇的な悲劇を表す手法を見た気がしました。
そして、それは、河合さんがトークショーでも言及していた「韻を踏む」ごとく「駄洒落」の多用により、馬鹿々々しさの中に「真実」を忍ばせることも一役買っていたと思いますし…
それこそが、シェイクスピアのニヒルなお芝居の雰囲気を匂わせていたように感じました。


さて、悲劇のはずの舞台が、あまりに面白かったので(笑)後回しになってしまいましたが、
白石加代子さん、やはり素晴らしい役者さんだなぁと感じました。
あのエネルギーは一体どこから来るのでしょうか…
今回は4役を演じ分けるということで、通常以上にタフだったと思われますが、
カーテンコールの時の軽やかな走りっぷりは目に焼き付いてしまいました。(かわいらし〜)
演技力うんぬんと言うのは、今まで映像として拝見した舞台の中でも重々承知しているつもりですが、同じ空間で、あの迫力ある声に触れるのは感動ものでした。
そして、声質的にも、対立する人物像の内面の激しさを表すことにおいても、萬斎さんとの掛け合いには、彼女は適役であったなぁと思われました。
それから、萬斎さんにおいては、非常に器用な役者さんであると認識しました。
過去に映像で拝見した「ハムレット」「オイディプス王」においては、台詞が聞き取りにくい気がしましたが、今回の生の舞台では、それは感じませんでした。
とても良いお声でしたし、メリハリのある発声法は、今回の主人公が態度を表裏一変させる様にもマッチしていました。


全体を通して、萬斎さんがイギリス留学をしていた経験というのが、彼自身の感覚に、自然に深く入りこんでいることが、すっと表れて、
今回のような意外性のある興味深い舞台になったのだろうなぁと思えました。


最初の方にも書いたように、千秋楽でしたので、カーテンコールも皆さんホッとしたような和やかさがいっぱいで、萬斎さんは、たくさ〜ん手を振って、投げkissもサービスしてくれましたが(苦笑)、
『もう一回観たいなぁ』というのが、終演後すぐに思ったことでした。

ということで、3時間の舞台の再現は叶わないようですが、萬斎さんのインタビューも含め、NHK教育で7/12の舞台からO.Aされます。
興味を持たれたら、どうぞ、見てみて下さいませ。


(以下、NHKサイトから抜粋)

◆ 8/10(金)22:25〜0:40
  NHK 教育TV 「劇場中継」

  「国盗人(くにぬすびと)」

原作: シェークスピア「リチャード三世」
作 : 河合祥一郎
演出: 野村萬斎
作調: 田中傳左衛門
衣裳: コシノジュンコ
出演: 野村萬斎、白石加代子、石田幸雄、大森博史
    今井朋彦、山野史人、月崎晴夫、小美濃利明 ほか
収録: 2007年7月12日(木) 東京・世田谷パブリックシアター  

内容:
大悪党・悪三郎は一国の王座を狙い、悪辣なる奸計によりライバルたちを葬り去り、実兄の未亡人を声色巧みに陥落せしめ、目指す王位にまで登りつめる。
そして、やがて訪れる破滅…。
数あるシェークスピア劇の中で異彩を放つ悪徳の王・リチャード三世の物語を、日本の戦乱の時代に置き換えて大胆に描く。
 

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♪シェイクスピアがいなかったら…  シェイクスピアは飯のたね ♪ 確かに、そうかもしれない。シェイクスピアなしでは、エラリー・クイーンの推理小説も「ウエストサイド・ストーリー」も存在しなかった。 ...続きを見る
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